2023年3月12日(日)、札幌市教育委員会・市立校長会が主催する「札幌市立高校プレゼンテーション大会」が、市立札幌大通高校を特設会場に【午前の部】【午後の部】の二部構成で行われました。はじめに大会実行委員長の開成中等教育学校 宮田 佳幸校長よりご挨拶があり、「3年ぶりの一同に介しての大会」であること、また「学校で取り組んでいる探究学習、日常の学習成果の発表であること」、さらに「小学校児童・中学校生徒・保護者へも発信し、情報共有をめざす」という目的が語られました。
続いて3名の講評者が紹介されました。
<講評者>
長谷川 正人氏 札幌市教育委員会 学校教育部長
篠原 岳司氏 北海道大学大学院教育学研究院 准教授
森本 優氏 AIR-G‘ エフエム北海道 パーソナリティー
【午前の部】
◆学校で取り組んでいる探究学習活動の成果についての発表です
① 旭丘高校
チーム『ハムほーズ』日本ハムファイターズを愛する3名のチームの研究。
〔研究題材〕「日本ハムファイターズの現状と未来」
日本ハムは、OPS(出塁率と長打率からの打者の貢献度)の数値が6球団1位!
・・・なのになぜ
最下位?WHIP(1イニング当たり何人の走者を出したか)の数値が高い!
最下位の原因は「リーフ陣が弱かった。」と分析
《講評より》なぜ最下位なのか。WHIPに原因があるという分析はすごい。
② 新川高校
『学びのデザイン』・・・高校生が小学校に出向いて授業を行う取組。
授業の構成・道具も班ごとに準備。何を意識した?・・
・小学生の気持ちになること・リラックスできる雰囲気をつくること・時間配分。
<気づき> 理解の速度の差への対応が大切
<振返り> 楽しみながら学ぶことの大切さ、どんな子にも理解してもらえる授業づくりができたか
《講評より》だれかに聴かせたくなるプレゼン。このままラジオに流せられるような発表。
③ 平岸高校
『朝読書のススメ』・・・朝読書にデメリットはない!たかが朝の「10分」、でも積み重ねれば3年間で90時間。
さらにブックトークの活動・・・1学年3回のブックトークテーマを決めて本を選ぶ⇒資料作成⇒クラス発表⇒学年発表!⇒成果=2840冊の貸出‥1人当たり平均9冊!
《講評より》内容、話し方が魅力的。「朝読書以外で読書するようになった人はどのくらい増えた?」などさらに内容を広げていけそう。
④ 清田高校 金子さん
グローバルコースの活動から。
貧困・戦争・人種差別・・・世界で起きている様々な問題について アクション。
“Think globally act locally”をモットーとする活動。
学校祭では「フェアトレードショップ」を開く。
<私の夢> エチオピアで出会った女性との交流を通じて水の重要性を知る。
国際看護師としてアフリカで衛生教育に携わりたい。
思いは「世界のすべての子どもたちを大人にしたい。」
《講評より》二つの魅力があった。一つは清田高校の魅力。もう一つは発見者自身の魅力。 「・・・子どもたちを大人にしたい」素晴らしいことば。
⑤ 藻岩高校『外来種研究所』
4回にわたり地域環境比較。地域の特定外来種に焦点。⇒食用として持ち込まれた
ウチダザリガニの脅威。巨大・爆発的繁殖力。簾舞川に生息するウチダザリガニは107匹!⇒爆発的繁殖。
西岡水源池には生息していない。・完全解決は難しい。
まず知識を持つこと。積極的に行動することが大事と主張。
《講評より》「伝える」という観点からプレゼンの完全なフォーマットでした。未来の予想や比較を出せばさらに説得力が高まった。
⑥ 啓北商業高校 『マーケィング』・・札幌の観光プラン いざ!札幌のアジアへ!おいしく、楽しく!
テーマ<北海道でアジアどう?>(札幌でアジアを味わう)
路線バスと地下鉄で旅行するプランの作成⇒札幌駅~「ソウルテラス」~「アジア食品楽市」~「HOASENレストラン」~「マライカ アフリカ民芸」
《講評より》面白い内容。「実際にやってみて、その感想」があればさらに説得力が高まる。
⑦ 大通高校 木村さん
『まちづくり探究』・・桑園チャンネルの企画づくり⇒札幌未来予想図
市役所でのプレゼン「フリースクールの無償化による育選択肢の多様化」 ⇒現在一人 100万円の公費補助金が出ているが、「不登校児童・生徒」には支給されていないという現実。
何とかできないか?・・・クーポン券のようなものの配付はどうか。
フリースクールを必要とする生徒が増加。人により求める環境が異なっている。
《講評より》学校に行きたくても行けない子もいる。これからも発信してほしい。
⑧ 開成中等教育学校
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校としての取組を発表。
「自然にやさしいものでプラスチック」という問いから「牛乳からカゼインプラスチック」の発想を生み出す。
表面にできたヒビをなくすには? 「耐熱性」「耐水性」「耐久性」1年間かけた実験・試行錯誤の繰り返し。牛乳・レモン汁・はちみつ・寒天・オリーブオイル様々な材料を試した、
その実験結果は?
《講評より》シンプルに面白い。ワクワクします。問いかけがあればもさらに良い。
⑨ みなみの杜高等支援学校 小林 蓮さん
否定されることを恐れ、自分の意見を言えなかった自分。
自信のなかった自分を変えてくれたもの。
そのきっかけの一つは「サポートコースの実習」。カフェカードのデザインを決める話し合いができたこと。そしてもう一つは「生徒会活動」。勇気をもって発言したことが相手に肯定されたこと。
「聞き上手になること」「自分を信じて発言し、行動すること」の大切さを学んだ。
《講評より》年齢に関係なく「聞き上手」は重宝される。とても大事な存在。
⑩ みなみの杜高等支援学校 佐々木里奈さん
テーマ『挑戦』。職能技能を競う大会(アビリンピック北海道大会ビルクリーニング部門)で、昨年度高等支援V2をつかんだ山本先輩。「自分もめざそう!」
何度練習してもうまくいかない。しでも諦めてはだめ。自分には仲間、先生、アドバイザーがいる。
そんな思いで頑張ったが、表彰台には上がれなかった。
それでも自分の弱み(レジリエンス力)、強み(諦めない強い気持ち)を知った。そしてたくさんの人に支えられてここまで来ることができた。来年も挑戦したい。
《講評より》どれだけ人に出会えるかが大切。助けてくれる人は絶対にいます。
⑪ 開成中等教育学校
「色素増感太陽電池の効率化」をテーマとした発表。
室内光と太陽光の対照実験。黒色色素と青色色素を用いた発電結果の比較。
青色色素アントシアニンの考察などとても深い。
クリーンエネルギー、カーボンニュートラルへの注目度が高まる中、SSHならではのプレゼンテーション。
⑫ 啓北商業高校
学校の購買で「お菓子販売できないか?」の調査・研究。販売への道は?
『フェアトレード』に着目。お菓子を通じた新しい販売経路の開拓は可能か?
販売予測、さらにごみ問題。校長先生との話し合いを経てついに「プレ販売」へ。
そして完売!ごみ問題も発生せず、今後は正式に販売の動きも・・・・・
《講評より》「学校にお菓子」という、普通は無理かなと思うテーマを、あきらめることなくプレ販売までもっていった発想がとてもよかった。
⑬ 藻岩高校 テーマ『Blue Berry Honey』
学校の「総合的な学習の時間」(MSP)から活動開始。
Mは<藻岩×南区> Sは<笑顔(Smile)×持続可(Sustainable >Pは<計画(Project)×人々が集まる場所(Platform))>
地域のためのなることなら なんでもしよう。南区にはたくさんの果樹がある。
南区の果樹園で育てられている特産物や果樹の廃棄物を減らそう!
そのためにできることは?学校祭でのハスカップのアイス販売。そして地域にある「リスの来る
パン工房でのリンゴ使用のパン販売。南区の人や先生方の“温かさ”に触れた活動となった
⑭ 旭丘高校
「札幌の桜の開花予測」過去の統計、温暖化と開花の関係など様々な資料を駆使したプレゼン。
研究のきっかけは、旭丘高校を囲むように植えられている桜の木々。・・・そしてグループが予想した今年の開花日は? 4月20日。例年よりものすごく早い開花となる。
《講評より》オープンデータの中にビッグデータがある。これを高校生が探究したことに意義がある。感覚から数値へ。グラフ化、見える化がよくできていた。4月20日を楽しみにしたい。
14人の発表が終了。最後に発表者に参加証明書が授与されました。
午前の部の様子を動画でご覧ください。