今回は藻岩高校の実践レポートの続きです。
2023年8月に、北海道インターハイ大会が開催されます。藻岩高校では日本アンチ・ドーピング機構(JADA)との連携プログラムとして、生徒たちが持続可能なスポーツのあり方を考える授業を展開しています。また、その成果はJADAへ報告されると共に、実行委員会に関わる生徒を通して、北海道インターハイの実行委員会へも届けられる予定です。
1月28日(金)これまでのまとめとして各グループから「北海道インターハイへの提言」が発表されました。
<生徒のメッセージとアクション例>
北海道(日本)の水資源の豊かさに気づき、水を大切にする心を持ってほしい
(アクション例)
・インターハイを広報するイベントや開会式で、海洋プラスチック問題、ペットボトルリサイクルなどに関する啓発活動を行う。
・各競技会場で、高校生によるゴミ分別の呼びかけとペットボトル回収運動を行う。
・宿泊施設や飲食店で、北海道の持続可能な漁法で摂られた海鮮物を堪能できるイベントの開催。
本プログラムは約1年をかけて体育科の教員チームが中心となり企画運営をしてきました。1学年の生徒158名を対象とした授業前アンケートでは「これまでスポーツと環境との関わりを考えたことはありましたか?」との問いに対して、「考えたことがあった」「少し考えた」が71名、「考えたことはなかった」が87名でした。
しかし、授業を通じてほとんどの生徒が「授業を通じてスポーツと環境との関わりを意識できた」と回答しています。授業を終えての感想では、生徒たちに新たな発見や気づきがあったことがわかります。また実際に授業後には、ボランティアへの参加する生徒が増加したとのこと。課題解決への当事者意識や参画意欲が高まったことが伺えます。
<記述式の感想(一部抜粋)>
「スポーツが環境に影響を与えるという事実を知らなかったので驚きました。発表会ではみんなそれぞれ違った意見があって面白いなと感じました」「大会が開かれている裏ではSDGsに反する様々な問題があることを知れました」「今まで知らなかった北海道の魅力や北海道との繋がりを知ることが出来た」
<先生方からのコメント>
実施の中心となっている千葉建二先生は「生徒が社会に対して自分たちでも何かできるという感覚を身につけてほしいと思い、授業作りに取り組んできました」とプログラムのねらいについて説明してくださいました。生徒にとっていかに楽しく意味のある授業プランをつくるか、何度も教員間で話し合いやシミュレーションを重ねてきたそうです。千葉先生と共にプログラムづくりを担ってきた佐々木理絵先生は「一人では難しくともチームで取り組むことで常に新しいアイディアが価値が生まれてきたと感じます」とのこと。体育科の教員だけでなく、他教員や管理職との対話も増えたことで、生徒を真ん中においた共通の教育目標を見ることができると言います。
<藻岩高校の体育理論の実践について>
1月28日、スポーツ庁委託事業「スクールプロジェクト」の令和3年度授業実践モデル校のうち、「市立札幌藻岩高等学校」と「神戸大学付属中等教育学校」に、室伏スポーツ庁長官から実践証書の授与がありました。
1月29日には、オンラインにて【スポーツの価値を基盤とした授業づくりセッション】が開催され、千葉健二先生と佐々木恵理先生が、「TOKYO2020から北海道インターハイへ〜持続可能なスポーツを目指して〜」と題したプレゼンテーションを行い、参加した教育関係者約40名の先生方がチームに分かれて今後の可能性をディスカッションもしました。
これからも、生徒にとって価値ある教育活動を追求する藻岩高校の取り組みに期待しています。
最後に、生徒からの提言も携えて、インターハイの北海道実行委員会専門部会の中に位置付けられている高校生活動学校推進委員会に臨む、 藤本夢叶さんへのインタビューをご覧ください。(画面 左上が藤本夢叶さん 中央下が千葉建二先生 右上が聞き手)