昨年「自分のアイデアで世の中の課題を解決する」をコンセプトに行われたSTARTUP CITY SAPPORO事務局主催の『SCS STARTUP SCHOOL U-18』(高校生・高専生向け起業体験プログラム )。
そのアイデアを結集した「第10回高校生ビジネスプラン・グランプリ」には全国から過去最高の455校4996プラン(うち北海道内22校 216プラン)の応募があり、1月8日、最終審査会が行われ、全国ベスト10が決定しました。
全国ベスト100に選出された北海道の5校からなる4プランと応募のあった高校の中から5校を選出した全9プランの発表会が、2月19日(日)、日本政策金融公庫札幌支店を会場に、ZOOMミーティングとのハイブリット方式で開催されました。
この中に、見事!札幌市立高校の生徒たちが入った二つのチームが作成したプランがあり、それぞれプレゼンテーションされました。
- チーム名 <Stop ASE>
開成中等教育学校の岡林さん、河西さん、啓北商業高校の牧島さんのチームです。
メンバーの問題意識は、3人ともリュックで通学している共通点から、「リュック背負ってめっちゃ汗かかない?」「リュックによる背中の汗をどうにかできないか」でした。・・これを何とか解決したい、快適にできないか・・・リュックを背負っても汗をかかないようなグッズを作ろう。・・・そして試行錯誤の末完成したのが『あせたさん』と名付けたグッズ。「アタッチメントをリュックに付けることで、背中とリュックの間に隙間をつくる」という斬新なアイデア商品だったのです。
〔『あせたさん』の三つのセールスポイント〕
- 取り外しができる ②長さ調整ができて誰でも使える ③何度でも使える「あせたさん」の値段は1,300円。汗で悩む学生に届けたい。
でも「制汗剤」を使うのも簡単では?という声も。・・・それに対しては、・肌に合わず使えない人がいる ・汗を止めることで熱中症の危険もある ・なくなれば何回も購入しなければならないという難点を指摘。
発表後コメンテーターから「1,300円という価格の根拠は?高くない?」と問われると、「材料費を考慮したこと、また買い切りであり、制汗剤のように何度も購入しなくてよい」と自信のコメント。会場からの感想では商品化の期待の声があがりました。
- チーム名<Teaching Match>
開成中等教育学校の玉井さん、啓北商業高校の植村さん、国際情報高校の坂田さんの3人チーム。
数学のわからない問題について「質問する人がいない」「質問できる人がいればいいな」・・ここからの発想。
できあがったプランは 『インターネット上に高校生が高校生に質問をする「プラットフォーム」を作ろう』勉強している高校生だけが使うプラットフォーム。人に教えることで教える側もより勉強が定着するというメリットに期待。より学習理解が定着する効果も。
しかしすでに「知恵袋」「教えて!goo」「Rakumon」・・・など既成のアプリもあるのでは?という声には“勉強”を“教える・教えられる”に特化したものはなく、それを目指したい・・・と明確。
会場からの「アプリをつくる原価は?」という質問。それには「自分たちでつくるのでほとんどかからない」と回答。基本利用料は無料。広告モデルの対象は大学・予備校。参考書制作会社。
全国329万人の高校生をターゲットに。初年度目標は1万人。1年後、5年後の収支計画も示され、かなり緻密な発表となりました。さらに将来は、大人のリカレント教育、学び直し、数学以外の教科へも発展させたいという大きな夢も語られました。
コメンテーターからは「汎用性がどのくらいあるか。どのくらいのレベルの学生が教えるか、差別化など難しいこともあるが、楽しみにしている。」とのコメントがありました。
発表会では、ほかに立命館慶祥高校の『バイオ炭で作る炭インテリアブランド』、留辺蘂高校の『地元の廃材を使用した幼児向けアルファベットの積み木制作・販売』、角川ドワンゴS高校の『多くの人の経験値を活用できるポートフォリオ辞書サービス』、富川高校の『ヨーグルッペアイスで町おこし!』など、斬新なプランが次々と披露されました。
最後に、コメンテーターの株式会社D2ガレージ 豊田 睦雄 様から、全体講評がありました。
「9チームそれぞれ、若いからこそのアイデアでした。ビジネスでは、使う人の課題の追求となるので、若いということが重要です。東京では若い起業家が増えています。『自分がやりたいことは何か』『収支計画は?』『市場規模は?』を考えること、市場は必ずしも大きくなくてよい。地域で長く続くようなものも大事です。」
生徒を引率し、会場参加した啓北商業の三谷俊介教諭は 「ビジネスプラン・グランプリは、応募してもベスト20に入ることが出来なければ、発表する場がありませんので、生徒が考案したビジネスプランを表現する機会があったことは大変よかったと思います。このような機会があることで、生徒の自信にもなりますし、活動を振り返り、次に向けた改善すべき点も見えてくると思いますので、貴重な場となったと感じております。各学校の生徒が自信を持って発表されていた姿も印象的でした。また、全道の高校での取組内容が共有されることによって、生徒はもちろん教員にとっても良い刺激を受ける機会となりますので、発表会が継続されることを望みます。」と感想を述べられました。
2時間半の発表会はこうして盛況のうちに終了しました。