今年度、札幌開成中等教育学校では「トビタテ!留学JAPAN」に22名の生徒が合格しました。これは全国でも最多の合格者数です。今回は、同プログラムを利用して1ヶ月間イギリスに留学した生徒にお話を伺いました。
「トビタテ!留学JAPAN」とは、2013年に始まったキャンペーンで、意欲と能力のある日本の学生が海外での学びに挑戦することを応援しています。これまでに全国の約9,500人の学生が参加し、貴重な経験を積んできました。(文部科学省HP参照)
札幌開成中等教育学校では、留学が学校文化の一部になりつつあり、昨年度は77名もの生徒が海外へ留学しました。その多くは高校1年生で、同校は中高一貫校のため、中学3年生から準備が始められることが特徴です。
今回、担当の増田先生にもお話を伺いました。
増田先生は、「『トビタテ!留学JAPAN』は生徒の探究活動の延長線上にある」と話します。
「生徒が『自分は何を学びたいのか?』というテーマを深掘りし、『なぜ留学でなければならないのか?』という問いを探究することで、志望動機をより具体的にしていくプロセスを大切にしています。」
このような指導が、生徒の留学への意欲をさらに高めているのでしょう。
また、実際に「トビタテ!留学JAPAN」を利用して、イギリスに留学した波多野 鈴(はたの りん)さんにも話を聞くことができました。
彼女は、7月28日から8月19日までの間、夏休みを利用してロンドンに留学しました。留学を決意したきっかけは、オーケストラ部の先輩がトビタテで留学をしていた姿を見たことだそうです。
「先輩がとてもかっこよく見えて、私も挑戦したいと思いました。」
波多野さんは、子供の頃から獣医師を目指しています。
目指すようになったきっかけは、円山動物園での獣医師体験。
「獣医さんが動物の健康管理をしている姿がとてもかっこよくて、憧れました。また、友達から借りた『動物のお医者さん』という漫画を読んで、その想いがさらに強くなりました。」
また、イギリスは動物福祉の先進国です。波多野さんは、「ペットフードバンクの発祥地であるイギリスに実際に行って学んでみたい。そして、いつか日本にも導入したい!」という想いがありました。
留学中に印象に残ったことを聞くと、「公共交通機関にペットが同伴できたんです。ケージに入らないで座席に座っているペットもいて、日本ではなかなか見られない光景にびっくりしました!」と教えてくれました。
最後に彼女は、「私は小学生の頃からずっと獣医師を目指してきましたが、今回の留学を機に、一度その夢に向かって走るのを休んでみました。はじめて、周りの景色を見渡してみようと思ったんです。そうすることで新しい発見がたくさんあり、他にも自分に合った道があるかもしれないと思うようになりました。」と、笑顔で留学の経験を振り返ってくれました。
〈あとがき〉
札幌開成中等教育学校では、中学校段階から探究学習を取り入れており、3年次には自分のテーマが定まる生徒もいます。探究テーマを深めるために、海外留学を志望する生徒が年々増加しているようです。日々の探究活動が海外留学へとつながる。進路探究の理想のカタチに出会えた瞬間でした。