今回は藻岩高校の体育の授業に伺いました。
2023年8月に、北海道インターハイ大会が開催されます。北海道での開催は実に36年ぶりです。
藻岩高校ではSDGs(国連の持続可能な開発のための目標)を軸とした授業を行い、生徒たちの意見を提案として取りまとめ、北海道インターハイ実行委員会の専門部会である北海道高校生活動専門部会内に立ち上げられた高校生活動推進委員会(※下記参照)へ届ける予定です。
『体育理論』の授業の中で、全3回のグループワークを行います。
今回はその第一回目、12月7日。
「持続可能なスポーツを考える」をテーマとして、生徒さんが4、5名のグループをつくり議論しました。
体育科の佐々木理恵先生が丁寧に作り込まれたスライドを映しながら、テンポよくさまざまな問いかけをします。
「スポーツが環境に与える影響って何があるかな?」
「スポーツの大会はどんな経済的な影響があると思う?」
「改善策はなんだと思う?」
生徒さんはグループメンバーと話し合いながら付箋にどんどん意見を書き込んでいきます。
「紙皿とか割り箸をやめてマイ食器持参とかどう?」「水筒もいいよね」「それいいね」。
笑い合ったり突っ込みあったりしながらあっという間の50分間でした。
授業終了後に近くにいた女子生徒さんに「グループワークはどうでしたか?」と尋ねると笑顔で「みんなと話し合えるので楽しいです」と答えてくださいました。
また、卓球部やサッカー部所属の男子生徒さん達は、どちらも「自分がやっているスポーツを環境への影響という視点で考えるのは初めてでした」と口を揃えていました。
藻岩高校は、『体育理論』の中で、ここ数年にわたり日本アンチ・ドーピング機構)(JADA) (※下記参照)と提携して、さまざまなテーマを設定して充実した授業を組み立てています。
体育科の5名の教員でチームをつくり、毎年の授業計画を立てます。5、6月から話し合いと情報収集を始め、8月にはJADAの研修に参加しさまざまな意見を取り入れながら授業計画が完成します。
10月〜12月に授業実施で、1月には東京の味の素ナショナルトレーニングセンターにてプレゼンテーションをします。
また併せて今年度は北海道インターハイの専門部会内の高校生活動学校推進委員会に藻岩高校からの提案を届けます。
先生方が一から自分たちで計画立案をするため「ご負担が大きいのではないですか?」とお聞きすると、担当の千葉建二先生がこう答えてくださいました。
「大変な面もありますが、それ以上に生徒達にとって今何が大切な学びかを追求できるやりがいがあります」。
また千葉先生は探究科目のご担当でもあり、SDGsをテーマとした科目『グローカル概論』とのつながりも意識されているとのこと。
「今大切な学びと何か?」という問題意識を持ちながら、教科ごとの学びの繋がりを模索する。藻岩高校ならではの力強い探究的な学びが展開されていました。
第二回の記事では、藻岩高校の「北海道インターハイへの提言」についてお届けします。
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※JADAとは(HPより抜粋)Japan Anti-Doping Agency;公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構のこと 「スポーツが公正に行われるための基盤を整備し、スポーツのさらなる発展と普及を支え、感動と誇りと活力にあふれたより良い社会の実現を目指す」という企業理念のもと、事業と活動を展開しています。(『事業と理念』より) 現在の高等学校指導要領の保健体育「体育理論」において、「オリンピックムーブメントとドーピング」が追加されました。現在、当該授業で取り上げるだけでなく、保健体育の実技や、保健体育以外の教科(美術や英語など)、特別活動や課外活動など、学校教育の様々な機会、イベントにおいてスポーツの価値を基盤とした教育が各地で実践されています。(『スポーツの価値を基盤』とした教育 ~スクールプロジェクト~ より)
※高校生活動専門部会とは・・・(令和5年度全国高等学校総合体育大会 北海道実行委員会総会資料より) 令和5年度全国高等学校総合体育大会 北海道実行委員会専門部会に設置された専門部会で、次の7項目について活動することになっています。 1 他県からの参加者、観戦者のおもてなしに関すること2 会場周辺及び駅等の環境美化に関すること3 大会のPRイベントに関すること 高校生活動専門部会4 来道者に対する北海道の情報発信に関すること5 歓迎セレモニーに関すること6 大会運営ボランティアに関すること7 その他の高校生活動に関すること
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