キャリア教育優良学校文部科学大臣賞の推薦理由についてインタビューしました!
「体験型のプロジェクト学習の設置」編
「ミツバチを教育に取り入れたいという思いを持たれていた副校長先生と出会ったのがきっかけです。」と島田正敏(しまだまさとし)先生はお話ししてくれました。
養蜂は外部の勉強会に参加したときに知り合った仲間と一緒に研究のために大通高校に来る数年前から始めていました。当初、高校でミツバチを飼うことは考えていませんでしたが、私が養蜂をしていることが当時の副校長先生が知ることになり、色々と根まわしをしてくださって急展開でミツバチプロジェクトが始まることになりました。そして次の年の2012年から養蜂が始まりました。隣には北大植物園、付近の街路樹も蜜源としても申し分のない立地ですが、始めてみないことには実際に分からないのが養蜂なので不安もありました。
結果的には毎年予想以上にはちみつの収量が増えていったので、数年でこのプロジェクトを続けていけそうだと感じました。高校のはちみつは市内の有名なホテルの朝食での提供や、大手酒蔵での甘酒とのコラボ、市内有名企業で石鹸に使われたことなどがあり2018年には、ハニー・オブ・ザ・イヤー(日本一美味しいはちみつ)を獲得しています。毎年7月後半には銀座でプロの方々の中に混じって生徒の販売実習もしています。ただ、この2年間は、暑すぎてはちみつの収量がかなり落ちてしまいました。その他にも「ちえりあ講座」の中で一般の方々と生徒が一緒に学ぶミツバチ関連の講座があり、その講座終了前に一般の受講者にボランティアを募集しています。毎年多くの方が参加してくださり作業を手伝っていただいています。また卒業後、養蜂関係に進んだ生徒も何人かいます。
「ミツバチについて教科横断的にいくつもの科目で学びながら、販売までつなげているのが凄いんです」と石山俊央(いしやまとしお)先生はお話ししてくれました。
「工芸」を選択した生徒が巣枠や巣箱を製作し、「動物の生態」の授業ではミツバチの生態を学習内容に取り入れ、生物部の生徒とボランティアの方々で内検や採蜜をおこない、ラベルやパッケージのデザインは「美術」や「書道」の授業で取り扱いました。完成したはちみつの多くは「総合実践」の授業を選択した生徒と「キャリア探究 みんなのミツバチプロジェクト」に参加した生徒が、9月に行われるオータムフェストで販売します。初めのうちは先生たちも生徒と一緒に販売に携わりますが、販売実習を重ねるうちに店の設営から販売まで生徒に任せられるようになります。「総合実践」の授業では外国人観光客に向けた接客の準備もしています。生徒の振り返りを聞くと、体験していることは同じでも、一人ひとりがそれぞれ異なった学びや気づきを得られているところに面白みを感じます。