清田高校のグローバルコース2年6組の生徒は、『総合英語』の授業で、「東南アジアのタイで、ゾウが地雷を踏んで足を失い、義足をつけることになった」という実際の話を学びました。
それを受けて、11月8日(月)、清田高校で、自衛隊の広報の皆さんによる講演の授業が行われました。授業の主題であった「地雷の除去の現状」から、さらに「海外でのPKO活動や海外勤務、日本や世界の安全保障の実際はどうなのか」などをテーマにした内容で、その後6つの教室に分かれて、さらに学びを深めました。
最初は、航空自衛官 和田裕(わだ ゆたか)さん。“野球少年“で高校時代は甲子園にも出場し、今も仕事をしながら野球を続け、外国と日本をつなぐイベントにも深く関わっている方です。英語力を磨き、平成18年には千歳を代表して「英語弁論大会」に出場し、発表した経験、そして、政府専用機に関わる仕事のお話など、生徒にとって身近な大変興味深い内容でした。
次は、機甲課に所属する渡辺徹(わたなべ とおる)さん。「地雷除去」の生々しいお話です。地雷はなぜあるのか?「残虐性」「残存性」「無差別性」・・・地雷はこれらすべてをもつ「悪魔の兵器」という表現が印象的です。アフガニスタン、クロアチア、ナイジェリアなど世界60カ国におよぶ地雷分布。そしてその除去の困難さと危険が非常にリアルに語られました。渡辺さんの話に聞き入り、地雷をめぐるパワーポイントの画面に真剣に見入る生徒たちの姿が印象的でした。
三人目の方は齋藤千春(さいとう ちはる)さん。「PKO活動と海外勤務」のお話。夜間活動中心で“フクロウ族”という呼び名があるとのこと。中東戦争の続いてきたゴラン高原での活動や、南スーダン、そしてソマリアでの海賊対処活動。さらにUNDOF(国連の兵力引き離し監視隊)の活動のお話。日本に住んでいれば実感のない世界。現地は「ほとんどが未処理の地雷原」ということばが心に響きます。
四人目の方は海上自衛隊から佐川雅人(さがわ まさと)さん。実は海にも「機雷」という、いわば“地雷の海版”があり、船舶の運航に支障が大きいということ。国際法では、1年で自滅する装置が課せられているとはいいながら、食料自給率のきわめて低い日本にとって、物流が止まる影響は大きいというお話でした。
五人目の方は女性の航空自衛官、渡辺奈知(わたなべ なち)さん。24時間電気員の仕事をされています。大阪の方で、阪神淡路大震災を経験されたことが、進路に大きな影響を与えたということで、民間から自衛官へ転職したというお話が印象的でした。
最後は、自衛隊札幌地方協力本部長 宮﨑 章(みやざき あきら)さんから、深い経験に基づいた、世界・日本の安全保障のお話がありました。世界の広さや違いを実感する内容でした。
2時間目はそれぞれの講演者が教室ごとに分かれ、10分間で教室を移動しながら、質疑や交流を深めました。各教室では「シリア・イスラエル・レバノンの中東地域と日本とではどういうところが異なりますか?」「カンボジアの地雷は今どうなっていますか?」「弁論大会のテーマは何ですか?」「職種は自分の希望で決まるのですか?」「女性が自衛官になるのは難しいですか?」など様々な質問が出され、活発で楽しい交流が実現しました。
宮﨑さんの教室では、生徒たちの夢、将来についてのやり取りがあり、生徒たちの様々な将来の「夢」に対して、宮崎さんが激励や温かなアドバイスを送っていました。
最後は再び一堂に会しました。生徒代表小林さんからは、お礼の言葉とともに「ふだん自分から調べなければわからないことがたくさんあり、今回は勉強になることが多かった。グローバルコースは、平和活動に関心のある生徒が多いので、今後この講演の内容を生かしていきたい。」との謝辞があり、2時間の授業(講演)は終了しました。