地域課題の解決企画を考えるプログラム「さっぽろまなびまくり社」。参加した高校生は地域課題を自分事として捉え、真正面から解決に取り組んでいます。全5回の最終回「成果発表会・マッチング」が、9月30日ホームグランドのCoみどり体育館(真駒内)で開催されました。 流動的だった各チームをくくるテーマやチーム名も固まり、8/26の第4回から実践を積み上げての発表です。このプログラムに参加した高校生は、6つのTeamテーマのもとに集まり、9つのチームを結成しました。まずは各Teamテーマのコンセプトや取り上げた課題、高校生やメンターの願いを紹介します。
▼以下はチーム名、チームの思い、取り組み概要、主な取り組みです。 なお、札幌市まちづくり政策局都心まちづくり推進室が推進している「大通公園プレスメイキング実証実験」において、今日発表された各チームの最終実践としてのイベントや出店があります。具体的なイベント名、日時、場所については、10月中旬ごろ札幌市より発表されます。
1 Team 空地/アート もったいない場所に高校生と地域の方々が一緒に新たな価値をつくる!アートや遊びなどジャンルは何でも。全国的な課題、「空き地」を活用して子どもから高齢者まで様々な人が快適に使う「日常」を創り出します。 ▼空地ジャック:「空き地」をジャックしてアートイベント アートの力で多世代交流を! 空地を活用した多世代交流型のアートイベントを実施し、いたるところで世代間交流が起こるまちを目指します。
・ワークショップでポストカード作成・チームで制作したアート作品展示
・体験型アート&バッジ製作
・9/18あけテラ芸術祭でワークショップ開催
▼Realizeし隊:アートで羽ばたけ”好き”を爆発Realize 子供たちがアートを通して自由に表現できる体験を届け、子どもたちの発想力が制限されない世界を創造します。
・イメージキャラクター「ちくわぶ」の塗り絵体験
・環境イベントで宇宙瓶製作体験
・もなみ幼稚園でお絵描き体験
・上町商店街の子供工房のお手伝い
2 Team 環境/エネルギー ゴミ、プラスティックなどの環境問題、脱炭素社会への取り組みは国際社会でも大きな課題です。「ゴミを出さない工夫」「ゴミから価値が生まれる革新的なアイデア」「エネルギーのあり方」など、大学や研究所も交えて「次世代の暮らし」を考えます。
▼高校生環境コンサル:「環境への配慮=ワクワク」の文化を創造 高校生が届けるグリーンナッジ(環境にやさしい行動をそっと後押しすること)「環境に配慮=ワクワク」の文化を創造する中で市民の環境保護に対するナッジを促し、環境への配慮が当たり前の社会を目指します。
・資源お片付けBox(ゴミを片づけたくなるようなゴミ箱)の設置(あけテラ芸術祭)
・南1条通社会実験「わざわざわストリート」参加 ・ワークショップ「ゴミは本当にゴミなのか?」
3 Team 食/多世代交流 おいしい、楽しいは、最もシンプルな街の価値です。子どもと高齢者をつなぎながら多くの人の価値観に触れます。団地、公園、カフェなど、様々な人が日常的に行き交う場所で、笑顔を増やす、繋がり方をつくるアイデアややり方をデザインします。
▼yummy yummy?♡「多様化するニーズに合わせた5種類のドーナツで人と資源をつなぐ」「捨てられてしまう身近なものを雑貨にアップサイクル」 地元の野菜や果物等を活用して、様々なニーズに合わせた5種類のドーナッツを企業等と連携しながら製作、販売しました。また、野菜や珈琲の廃棄部分を活用して雑貨づくりをしたり、雑貨を作る過程をワークショップで体験してもらいました。
・南区の野菜、果物を活用(地産地消)したドーナツの製造、販売(あけテラ芸術祭)
・ダイエット、オーガニック、小麦アレルギー、野菜苦手へ対応したドーナツを企業と連携製造
・コーヒーかすを使った脱臭剤・卵の殻を活用したレジン(樹脂)アクセサリー
・野菜の皮など不可食部で草木染(布と糸)しパッケージにも活用
4 Team 居場所/インクルーシブ 「誰もが自分らしく居られる居場所や時間」これは街の大きさに関係なくあらゆる都市や地域、人がいる場所にはとても重要です。年齢、立場、障がいの有無に関係なく、誰もが「一人の人間」として尊重され自分らしく居られる「居場所づくり」を考えます。
▼いい場所居場所 ▼未来を想像できるフリースクール:だれもが存在してよい居場所を創造する。様々な居場所づくりに挑戦!
だれのためにどんな居場所が必要か検証するため、他チームとの連携、保育園や学童のスペースを借りてイベント実施し、それぞれが、だれかのための居場所を作り、それぞれの学びにつなげます。
・あしたの寺子屋
・環境チームとコラボワークショップ「中学生と環境問題を考える」
・高校生対象「大学ってどんなとこ?」おしゃべり会
・中学生対象フリー—スクールプレオープン
・地域の子どもや大人対象のイベント等でのボードゲームコーナー
5 Team 情報/縁/メディア 街の情報や人々の声をより身近なものにすることは大切です。誰に、どんな情報を、どうやって、伝えていくのか。また魅力を伝えるだけでなく、人をいかにそこに誘導するのか。「もの」や「こと」の情報を伝えながら「人」をつないでいく「街のメディア」を考えます。
▼寄り道さんぽ:高校生ならでは!寄り道ささるマップを作りたい!町を歩く人たちに、高校生視点の年代別おすすめルートを作ることで、寄り道ささって、気づいたらさんぽをしてしまうようにしたい。
・マップを制作する真駒内周辺地域の調査
・メンターの事業所でVR体験や動画編集の学習
・目指すお散歩アプリ(年代別のルート、マップにショートムービーの埋め込み、消費カロリー表示)
6 Team 世界とつながる 自分の世界 自分が「これだ」と思うことを極めれば世界中から共感を集めることができる時代。国際交流、フードロス、資源の循環…。海外の仲間ともオンラインで繋がりながら自分の世界を拡げていきます。
▼皆で作るオムライス:超絶敷居の低い国際交流シーンを街中に点在させる。書道や太鼓など、伝統的な日本文化をテーマとして「遊び」を通して国際交流を促し、海外の異言語、他文化と触れ合うことは意義深いし楽しいことを市民(特に若者)に伝えます。
・イベント「English×書道」開催
・あけテラ芸術祭で多世代交流会「絵はがき・アート作品制作」
▼最強スープ:捨てられてしまう野菜の不可食部分で作る「最強スープ」をアフリカに届ける。野菜の芯など実は栄養価の高い不可食部分で、栄養満点の「最強スープ」のレシピを作成します。大学の先生、アフリカ在住の日本人と連携し、後発開発途上国の素材でも作れる汎用性の高いレシピ作りを目指します。試作品段階で「美味しくない」というのが課題です。
・野菜の可食部と不可食部の栄養調査
・難民の食事調査
・塩分や糖分、油脂の過剰摂取の調査
・スープの試作、栄養調査
最後に4か月もの間生徒のみなさんと伴走し、支援してきた「さっぽろまなびまくり社実行委員会」林匡宏代表に伺ってみました。
—これまでの活動についてお聞かせください。 私はこれまでに対面での話し合いを7〜8回、リモートだと20回近く行いました。メンター(運営委員)は13人いますから、相当な回数の話し合いが行われたと思います。このような活発なプロセスの中で、今年は小さいイベント等をもう何回かやって実証をしています。実証はメンターの事業に高校生が直接参加したり実践する中で行い、多くの学びを得ています。 —ボランティアでメンターをされている方が多いようですが、活動のモチベーションは何でしょうか。 私の専門は都市開発やまちづくりですが、これは人と人のかかわりの中で行われるものです。まちづくりでその地域ならではのまちをつくるには若者の声が必要です。その大本になるのは教育的スキームだと思っているからです。 —活動のモチベーションについて運営委員の竹村真奈美さんにも伺いました。 日々変化していくものを見るのが好きだからです。まなびまくり社の活動でも、最初はフワッとしたことが固まって実体のあるものになっていくのがすごいです。それから1回目の活動から今日までの4か月間の変化もすごいです。生徒間や生徒と大人のメンター間のコミュニケーションの変化もすごいです。最初は心細げだった生徒が、大人もタジタジになるほど自信たっぷりに大変身します。そして、頼もしく成長した高校生のみなさんが、将来地域で繋がっていけば本当にうれしいです。
発表が終わった後も各チームで車座になり、その中にメンターや発表会参加の大人も混じって、ふりかえりや今後の活動について遅くまで熱心に交流していました。